生命保険はじめました
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金曜日の夕方、僕はマサチューセッツから隣州のコネチカットを抜け、ニューヨークに向かう84号線を南下していた。クラスメートのHowieが運転するトヨタ車の助手席にゆったりと座って。ハイヤーのような、実に快適な旅だ。くるしゅうない。辺りは週末を前にして、都会から脱け出そうとする車で混み合っている。長い冬が刻々と近づいていることと、10月31日でサマータイムが終わり、時計の針が一時間戻されたこともあって、まだ5時半だが外はすっかり暗くなっている。HowieはリップルウッドのCEOであるTim Collinsが独立前に務めていたOnexというプライベートエクイティ会社出身。兄弟会社のような関係で、それだけで不思議と親近感が沸く。背は低いががっちりしており、大きな目と大きな鼻、ちょっと寂しくなった頭が貫禄をもたらしてている(かな?)。頭のよさと洞察力の深さ、発言の力強さなどではクラスで一目おかれている。オリエンテーションの終わりに彼から声をかけてきて、仲良くなった。今は席が前後で、クラスでもっとも仲がいい友人の一人だ。なにかと相談事があると、彼に話すようにしている。 4時間半の旅だから、時間は余りある。高速をかっとばしながら、クラスの話、教授の話、クラスメートの話、キャリアの話、とりとめもなく意見交換。一通り終えたのちに、僕は彼に尋ねた。今回の選挙結果だけどさぁ、どう思う?田舎の保守層がブッシュに投票するのは分かるのだけれど、単純書く得票数でもブッシュが51%取っているよね。なぜ、皆ブッシュに投票するの?選挙結果が出た日、イギリス最大のタブロイド誌、Daily Mirrorは一面で、"WHY WERE 60 MILLION US VOTERS SO STUPID??" との見出しを掲げたそうだ。 11月3日未明にブッシュ当確が報道され、同日授業中にケリーの敗北宣言をクラスのスクリーンでみながらも、僕はきちんと理解できずにいた。なぜ、あれだけこばかにされているブッシュがこれだけ多くの支持を受けているのか?今回の選挙結果を理解することは、アメリカという国を理解する上では欠かせなさい。 ブッシュに対する評価は、どの地域のどういう層の人かによって、180度異なるよ。ダイスケが普段接しているのはHBSの人たちで、彼らは確かにブッシュを尊敬していない。でも田舎に行ったら、依然としてブッシュ人気はすごい。彼は単純なことを分かりやすい言葉で繰り返し伝える、力強いリーダーとして尊敬されている。ハンドルを握りながら、Howieが早口で語る。 確かに州ごとの勝敗を地図で見ていくと、明確に民主党の青と共和党の赤で分けられていることが分かる。フィラデルフィア、ニューヨーク、ボストンの都市を含む東海岸の州は、北はメインから南はワシントンDCまで、すべてケリーが勝利を収めた。また、中部では五大湖周辺でデトロイトがあるミシガン、シカゴがあるイリノイと他2州、西海岸ではロスとサンフランシスコがあるカリフォルニア、オレゴン、シアトルがあるワシントンと、これも民主党が勝っている。オセロでいうと、右と左の両端を押さえているようだ。 http://www.nytimes.com/packages/html/politics/ 2004_ELECTIONRESULTS_GRAPHIC/ これに対して、これら東西海岸部の州をのぞいた中部・南部の州は、きれいに共和党の赤に染められた。前回はゴアが勝ったニューメキシコや、最後まで接戦が続いたフロリダ、あるいはエドワーズを担ぐことによって得票を増やそうとしたノース・カロライナも。これは単純化すると、分断されたアメリカ、都市部のリベラル層がブッシュに反対し、田舎の保守層がブッシュを支持しているということになる。特に、ここ何年かのアメリカの草の根の保守化は著しいようだ。このconservatismを推進しているのは何なのか? 今週号のJMM*で、作家の冷泉彰彦氏が上手に表現している。それは、「時代に取り残されていく不安心理」、「世界の中で孤立している恐怖感」だということだ。特に地方で農業を営んでいる層だけでなく、製造業に従事していた人たちは、経済のグローバル化により外国のより安価な労働力へのアウトソーシングの流れが進むと、自分たちの力ではどうしようもないところでの大きな流れを感じ、それに対して不安を覚える。それが宗教や「アメリカ的」な道徳観、価値観へより強くすがりたくなる思いを掻き立てているようだ。欧州を中心とした海外からの批判が、この孤立感をますます沸き立てる。これが一つの大きな流れ。今回の選挙では例えば、ケリーが出身のマサチューセッツ州が同性愛者間の結婚を認める判決をしていることを題材に、ケリーのリベラルさを攻撃する作戦が取られた。ブッシュの参謀で、前例がないほどの大きな影響力を持つカール・ローブが立案した緻密な選挙戦略によって、保守層の大規模な動員作戦が効いたようだ。諸葛孔明(ネオコン的なイデオロギーは除く)のような参謀がいたことも、今回の勝因の一つだ。 それでは、都市部でもブッシュが票を獲得できるのはなぜか?ニューヨークとかカリフォルニアでも、民主党の勝利は圧倒的なものではない。 これには、共和党が理念として小さな政府を掲げ、減税を軸とした経済政策を唱えていることが、大企業や富裕層の支持を得ていることが大きいそうだ。投資家保護や環境対策などで政府に余計な規制をされたくない、そんなことも背景にある。 ブッシュ政権下の経済政策では、財政赤字だとか経常赤字、そして破綻しつつある年金・医療保険制度など、大きな問題が指摘されている。これらは今後のアメリカ社会にとっては重要な問題ばかりで、これらの分野ではケリーの方がよい政策を掲げていた。しかし、彼はそれを上手に伝えることができないまま、議論はテロとの戦争だとか、価値観の問題に流れていった。複雑な経済政策の議論は、クリントンのような天才的なカリスマ性を持つ政治家なら勝てるけれど、ケリーでは無理。単純で一本調子のブッシュの方が好まれる。それが大きな敗因だったようだ。 そろそろガソリンを入れなきゃ。長旅なので、途中の休憩は不可欠。ガソリンスタンドで停まり、冷たい風に吹かれながらトイレに向かう。4車線の道路を横から見渡しながら、この国の広さを改めて感じる。僕らが知っているアメリカはニューヨーク、ボストンの大都市、そしてその中での知識層に過ぎない。この国の大半をなすのは、これらとはまったく違う境遇にいる人たちだ。まだまだ知らないことはたくさんあるが、今日の会話を通じて少しだけ、この国をなす多様な人々の顔が見えてきたような気がした。 * 村上龍主催のメールマガジン。お勧め。http://ryumurakami.jmm.co.jp
by diwase
| 2004-11-06 22:26
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