生命保険はじめました
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マーケティングの授業で、PROPECIAというメルク社の画期的な育毛剤のケースを取り扱った。日本でも知られている「ロゲイン」の競合製品だが、まだ市販は認められておらず、医師による処方箋が必要だとのこと。白人男性のhair loss ratioはかなり高く、50歳になると半分がこの問題に悩まされているそうだ。黒人男性の比率はその4分の1であり、アジア人はそれより更に低いとのこと。ほっとさせられる。クラスでもすでに頭が寂しくなっている友人が何人かいる。ケースのなかでも、どこまで冗談をいえるのか、境界線の引きどころが微妙だ。Section Presidentとしての倫理観が問われるため、身が引き締まる思いだ。なかでも、ケースのExhibitにはハゲのパターンが、前から横から後ろから、7カテゴリに分けられて図解されている。これって、答えを出すのに必要なの?ケースライターの趣味としか思えない。一人、プエルトリコ出身のEdがこの育毛剤の愛用者であることをカミングアウトし、薬の実物を持ってきて、皮膚科に処方を相談しに行ったときの貴重な体験談を共有してくれた。みんな、Edの勇気に拍手。 ケース自体は、マーケティングとして医師を直接攻めるか、テレビ広告などによって消費者に幅広く訴えるか、議論した。難しいのは、製薬会社の営業では医師の時間は一回5分程度しか取れないこと、メルク全体のポートフォリオから見るとこの新薬は決して大きいものではないこと。そして、この「秘薬」には、約2%の患者にsexual side effectが出るという欠点があり、テレビ広告をする場合は、規制によりそれをきちんと説明しなければならない、ということ。この2%という数字は統計的には意味がないそうだが、それにしてもこの副作用の心理的なインパクトも小さくはない。そもそも男を磨くためにこの薬を服用するのに、かような副作用があったら本末転倒ではないか? 授業の終わりに、ケースに当事者の一人である、メルクのコンシューママーケティング担当者が来ていた。他の教室からビデオで生中継。PROPECIAについて、授業で交わされた学生の議論内容を踏まえて、実際に彼らが選んだマーケティング戦略を話してくれた。それが一通り終わると、最後に学生の皆へのメッセージ。 僕は今、メルク全社の広報を担当している。といえば、ここ数週間、僕がどんな仕事をしていたのかお分かりでしょう(注)。それでも、僕はメルク社が取った選択を誇りに思っている。この会社は、本当に高潔な価値や倫理基準を持っている。僕は前職をやめる際に、いくつもの魅力的な選択肢があったが、メルクの企業倫理に惹かれて天職をした。皆にも言っておきたい。卒業後、皆は誰よりも多くの選択肢を目の前にするでしょう。それでも、就職先を選ぶ際には、必ずその会社が企業倫理の問題をどのように捉えているのか、確認してもらいたい。そして、自分の理念と合致する会社を選んで欲しい。彼の語り口から、決してお題目として唱えているわけではなく、自分が心の底から信じることを話していることが伝わってくる。 HBSに来てから、valueとかethicとかいう問題について、考えさせられる機会が本当に多い。クラスでもわざわざValue担当役員を選出したし、校内のCommunity Standards & Valuesを専任とするスタッフがいるくらいだ。そして、Rastoの言葉が思い出させられる。倫理とか信念は、筋肉のようなものだ。毎日毎日積み上げていくなかで、少しずつ強くなっていく。ある日突然大きな、難しい問題に直面させられて、正しい答えを出せるようになるわけではない。だから、目の前の一つ一つの問題を、真剣に考えていくべきだ。 この数ヶ月で、自分の中で何かが大きく変わったわけではない。ただ、少しずつこの問題に関するawarenessがあがってきたのは確かだ。そう、筋肉に例えるならば、準備体操、ストレッチを通じて、体が慣らされてきたように。これからの時間を通じて、少しずつ、力を養っていきたい。 (注) メルク社は2004年9月30日、ヒット商品の一つであったVioxxを、人体に害を加える可能性があるとして、自主的に市場から引き上げることを発表。同製品は売上25億ドルを超え、利益貢献度も大きかったため、株式市場はこのニュースに大きく反応。株価は45ドルから30ドル前後に暴落し、約3兆円もの時価総額が一瞬にして失われることとなった。
by diwase
| 2004-10-28 15:12
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