生命保険はじめました
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気がつくと、散っていく桜のように白い雪が舞う、そんな季節を迎えていた。薄暗い空と、突き刺すような冷気によって彩られるこの季節は、どこかメランコリックなムードが我々を包む一方で、恥じらいながら歩く二人の手が触れあうと、そこにはじめて重ねた唇のような燃えるような暖かさを感じさせてくれる、そんな瞬間を産む季節でもある。 僕らは、歩いていた。渋谷から松涛に向かう坂を、白い雪に包まれながら。乾燥した空気が、一面に広がる星空をよりいっそう輝かせていた。 横にいるその女(ひと)は、色白で長い髪、品のよさと華奢な体つきに特徴づけられ、文学を読み耽る体験を、「自分の内へどこまでも沈んでいくような快楽…いつまでも溺れていたい…」、そう例えるような人だったのだが、お酒もジャズも大好きで、そんな彼女と二人きりで酒と音に酔い、夢中に話しながら過ごす冬の夜は、もし時の流れを止めることなどができたら、そのレバーを奥深くまで、二度と戻らないように押したくなる、そんな気持ちにさせられたものだった。 ********** 僕、ジャズのスタンダードのタイトルが好きなんだ。少ない言葉に、拡がる意味が含意されていて、それはそう、まるで日本の短歌のよう。 たとえば、All The Things You Are。貴方がそうであるすべて、そのすべて… そのすべえを愛するのか、憎むのか?そこで終わる切なさが、あの悲しげなコード進行とマッチしてるよね。この曲は、エヴァンスのソロアルバム、Aloneの演奏が一番だよ。いきなり裏コードのEで始まるし、最後まで曲のテーマは登場しないけれど、それでも曲のニュアンスが十二分に出ていて、間を上手に使ったスリリングな演奏になってる。 そこからメドレーでMidnight Moodに入っていくんだ。Midnight Moodという曲も、メロディーもタイトルも大好き。Dフラットでのキーで始まるこの曲、そこで謳われる真夜中のムードというのは、そう、まるで今僕たちが過ごしている夜のような、調和に包まれた暖かさと、空に向かって無限に拡がっていく感覚を覚えさせる… でも、一番好きなのは、Turn Out the Stars かな。ほら、あの星空を見て。一面に拡がるあの星一つ一つが、まるで小さな電灯のようで、ここで部屋の電気を消すように カチッと スイッチを下に押したら、一斉に星が消えたら… 遠くにあるあの創造物が、自分の支配下にあると想うだけで、なんだか星空とconnectできる気がする… ********** この頃になると、もうすっかり酔いも回り、手を大きく広げて夜空を見上げると、まるで吸い込まれそうな気分になった。しばらくして横に視線を戻すと、彼女の白いコートが、暗闇のなかでよりいっそう映えている。 ********** 私は、雪が散るように降るこの感覚が好き。風に吹かれた雪を見ていると、まるで地面から白い雪が吹き上がっているような気がしてきて… 私は、この雪と、一つになりたい。赤ワインをたくさん飲んで、ジャズを浴びるように聴いて、そして、雪になってしまいたい… ********** その人と過ごした時間は、決して長くはなかった。それでも、今でも僕は白い粉雪が散るように降り咲くのを見ると、どこかで白いコートを、それは真っ白ではなく、どこかでに赤ワインが溢れてしまったような濃い赤が交じっているのだが、そんな白を探しているような感覚を覚えるのだった。 (Turn Out The Stars 第三回、これにてめでたく終了) ■ 本シリーズ、初めて読まれて「何だこれ?」と思われた方へ - 衝撃の第一回 - 何かともったいぶった第二回
by diwase
| 2005-11-23 14:03
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