生命保険はじめました
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こちらでよく使われるが、日本語にぴったりの対訳がないものとして、work-life balanceというコトバがある。「仕事と家庭の両立」と日本語でいうと、共稼ぎの女性が抱える悩み(←こんなことをHBSで口にしようものならば、女性陣から大ブーイングをくらって村八分にされかねない)を指しているようなニュアンスを感じるが、それとはちょっと違う。いかにしてプロフェッショナルな生活を充実させつつ、豊かな「私」の生活を実現させるか。こちらでは、家庭を大切にできていない、あるいはプライベートの生活がないような人は、どれだけ仕事で成功していても尊敬されず、むしろある種の哀れみの目で見られることになる。 社会的な「成功」の条件として、どれだけ仕事が忙しくとも、子供を送り迎えし、運動会やお誕生会にはちゃんと参加する、あるいは独身であれば自分の時間で趣味に打ち込み、上手に遊び、精神的な豊かさを実現する、そういう姿が求められているわけだ。 また、就職や転職などの際、新しい職場を選ぶ際の基準として「work-life balanceがいいこと」というのは、多くの人にとってはもっとも重要なクライテリアの一つだったりするのだ。 そして、考えてみると、日本でこのような「ライフ・ワーク・バランス」なる概念が、問題とされることはほとんどないように思える。もちろん、働き家庭を持つ女性の皆さんにとっては痛切な問題であるのだろうが、それ以外の人たちについては話題とならない。仕事が大変なのは、しょうがないよね、そう受け入れるしかない。 これには、いくつかの理由があるように思える。 まずは、自分が属する社会や組織のなかに自己のアイデンティティを見出す、そんな日本特有の「個」の概念。仕事外でも、自己紹介をするときに、「●●(会社名)の何某です」とまずは社名を述べる人がいるというのはもはやサラリーマン漫画の世界だけかもしれないが、自分が属する組織によって、自分という存在を定義する、そんな感覚を持っている人は少なくないように思える。(そういう人たちにとって、「会社を辞める」ということは、自分は何者か?というアイデンティティ・クライシスに陥りかねないくらい大きな出来事なのだろう)。 週末までクラブ活動や奥様方の集まりなので、会社の人たちと過ごす、そんな昔ながらの大企業像は、一種のコミュニティと安心を提供してくれていたのであり、そこに属してきた人たちには、職場から明確に分かれた「私」の時間というものは、そもそも必要とないのかも知れない。 これに対して、欧米の人たち(というより、自分の周りにいる一部のプロフェッショナルの人たちに過ぎないかも知れないが)は、まず個があって、それを取り巻くように自分が属するコミュニティや社会があるに過ぎない。会社はあくまでも一時的な業務委託関係にあり、それとは別の自分がまずありきなので、仕事に覆われてしまうことを極端に嫌がるのだろう。 もう一つ考えられるのは、男性の家庭での役割。「お父さん、お風呂にする、それともご飯にする?」。そんなお茶の間ドラマの一コマの光景に代表されるように、父親は会社に行って仕事をすることで、自分の役割を果たしている、そんな決まった父親像があるのだろう。こちらでは、出産の立会いから、子供の成長にかかわるあらゆる場面で、父親が仕事を休んで列席することが当然のこととまでされている。このあたりも、日本も変わりつつあるかな? 以上、やや極端に述べすぎたかも知れない。もちろん、日本人でも自分の時間を大切にできている人はたくさんいるし、こちらの人たちでも昼夜週末を問わず仕事をしまくっている人も多くいる。戦後の米国では、IBMなどの大企業は日本企業のような家族的な要素を持っていたと学んだ。とすれば、これはそもそも日本と欧米の違いではないのか? ただ、HBSでも含めて、これだけ多く、life-work-balanceということが議論されるの対して、日本にいるときは、誰しもが向かいあわなければならない大きなチャレンジ、そういったコンテクストで議論されることを聞いたことがなかった。週末、コネチカット州にある高級住宅街であるスタンフォードで夏を過ごしている友人を訪れ、大きな家の裏庭のプールにつかりながら、ふと何故かなと考えてみたくなったわけだ。
by diwase
| 2005-08-02 09:32
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