生命保険はじめました
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今日は16時からACCION*のガバナンス委員会。キャンパスの奥の方に位置し、普段は足を運ばないMellonという建物にあるChu教授のオフィスから、電話会議に参加。11月末から少しずつ進めていた仕事の成果を、他の役員と共有するはじめての機会だ。NGOの役員といっても、ACCIONの場合はヘッジファンドや投資銀行のパートナー、大企業のCEO経験者なども含むから、一筋縄ではいかない。このChu教授も、小柄でちょび髭・七三分けという風貌、とてもソフトな口調と面倒見のよさでついつい油断してしまうのだが、元は泣く子も黙るバイアウトファンド、KKRのパートナーだったことを忘れてはならない。ちなみに、KKRは1980年代に300億ドルの敵対的買収を実行させ、全米の企業に恐れられていた。彼らに比べると、リップルウッドなんてかわいいのだ。15時半、少し早めについて、おしゃべりをすることに。アルゼンチンはどうだった?Chu教授はブエノスアイレスに本拠地を置くPEファンドのパートナーも勤めているから、僕の冬休みの旅行に興味を示してくれる。レコレッタにあるホテルに泊まったのですが、あの一画はフレンチ風な優雅なマンションが並んで、素敵ですね。8車線も走る広い大通りを両側の木が覆い隠す、MALBA現代美術館から、各国の大使館が並ぶ通りの雰囲気が特に気に入りました。歩いていると、とても金融危機に陥った国とは思えません。そうかい、僕もレコレッタに住んでいて、ペガサス・キャピタルの最初のオフィスもその辺りにあったんだよ。 話していると、部屋の奥に何故かトイレらしき部屋があるのに気がつく。ここのオフィスは各部屋にレストルームまで付いてるんですか。違和感があるので、つい聞いてしまう。いや、ダイスケ、ここは元々は寮だったんだ。教授陣のオフィスは一部ベイカーライブラリーのなかにあったのだが、2年前から工事中のため、こうやって一時的に避難してきているんだ。今年の夏には図書館の工事が完成するから、また戻れるはずだ。なるほど、言われてみると確かに学生寮のような雰囲気の部屋。 16時になったので、指定された番号にダイヤルイン。全米各地に散らばる参加者が、この番号にかけてパスワードを入れると、会議に参加できるという仕組みだ。プロフェッショナルファームで働いている方ならご存知だと思うが、外人はこの電話会議というのをとかく好む。米国内も広いし、国境を超えてプロジェクトをやる場合には、物理的に一同介することは難しい、という事情もある。しかし、ここまで電話会議が普及するのは、会議に明確なアジェンダを持ち、参加者がそれぞれ意見をはっきりぶつけあう、という欧米の議論のスタイルが関係しているように思う。日本の大企業で育った上司は、いつまでも電話会議に慣れることができず、嫌っていた。相手の顔色を伺いながら、あうんの呼吸で合意をしていく、という日本的なスタイルが通用しないからだろうか。 今回僕に与えられていた課題は、ACCION役員会のパフォーマンスを向上させるために、役員会全体と、役員個々人の評価システムを作ること。はじめて聞いたときは、「は?」と思ったが、調べていくうちに、組織にとって取締役会および取締役個人のあるべき役割は何か、なんとなく分かっていたつもりのガバナンスのあり方について、きちんと整理し、理解を深めることができ、有意義だった。 考えてみれば、会社全体、あるいは従業員個々人の業績評価が論じられることはあっても、「BoD(Board of Directors、役員会)のパフォーマンス向上」ということを真正面から論じることは、for-profitセクターの企業でもあまりないように思える。せいぜい、外部取締役を増やすとか、委員会等設置会社に移行して各種委員会を儲けるとか、取締役にストックオプションを与えるとか、その程度で終わってしまうことが多いように思う。それが、NGOでありながらも、BoDおよび取締役個人が明確な役割を果たしているか、定期的に通信簿をつけていこうというのだから、相当先進的であるといわざるを得ない。特に役員一人一人を評価していくとなると、「なんとなく」役員になって、特に害がない人であっても、役員会全体に目に見える貢献をしていない限りはクビになってしまうため、非常に厳しいシステムだ。 今回の提案をするに当たり、マッキンゼーが出していたレポート、"The Dynamic Board: Lessons from High-Performing Nonprofits" (2003)を大いに参考にした。本レポートによると、BoDは以下の重要な役割を果たすことで、その組織の長期的な成功に大いに影響を及ぼす: 1. Shape mission and strategic direction a) Clarify mission and vision b) Actively engage in strategic decisions 2. Ensure leadership and resources c) Select, evaluate, and develop the CEO d) Ensure adequate financial resources e) Provide expertise and access for organizational needs f) Enhance the reputation of the organization 3. Monitor and improve performance g) Oversee financial performance and ensure appropriate risk mgmt h) Monitor performance and ensure accountability i) Continuously improve board performance 一つ一つを取ると当たり前のことなのだが、こうやって整理し、それぞれについて事前に明確なexpectationを設定、継続的に評価し、改善につなげていこうというところにこのエクササイズの意義がある。NGOに特有である点は、資金調達を役員自らが広げていく責務を負う、ということだろうか。以上の項目について、役員と、CEO以下のスタッフに評価してもらう。そして、これらに加えて別の表で、BoDの人数、会議体のあり方、役員の構成(専門分野の多様性)、リーダーシップ、プロセスなど、役員会を効果的にするための要素についても評価を加える。 個々の役員については、会議への参加状況、個人の献金、各種委員会への参加度合い、そして戦略を実行していくために必要なexpertise(例えば南米・アフリカの経験、献金をしてもらう富裕層とのつながり、ワシントンやNYの主要機関へのアクセスなど)などについて、点数を用いて評価をしてもらうことにした。こういった評価を定量的な指標に点数化することについては反対する声もあるが、明確にディサプリンを持って行なえることが長所だ。 今回の電話会議を受けて、今後数週間で僕が中心となってCEO、各事業の責任者と話し合って、点数をつけていくことになった。取締役は、経営陣を監視するガバナンスの側面と、スタッフが戦略を実行するためのリソースを提供してあげるという側面を有している。BoD自体がフィードバックを受けて、継続的に改善していくことで、組織全体のパフォーマンスをあげていこうとする。このBoDのあり方自体が、組織の一つの競争優位の源泉となりうるという認識。一つの非営利団体とのやり取りから、今後PEのキャリアで重要となってくるインサイトを得ることができた。 * ACCIONは南米、アフリカなどの貧困層に対して小額の貸付をする、マイクロファイナンスという事業を行なうNGO。僕はSocial Enterprise Clubを代表して、役員会にオブザーバーとして参加してプロジェクトを行なう、Board Fellowに選ばれた。詳しくは、Microfinance with ACCION - 2004/11/21、Michael Chu - 2004/11/25を参照。Chu教授のプロフィールも面白いです。
by diwase
| 2005-02-08 13:07
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