ハーバード留学記
2008-11-04T19:24:50+09:00
diwase
Harvard Business School 留学記
Excite Blog
卒業 - 2006/6/7
http://hbslife.exblog.jp/4943977/
2006-06-07T15:44:00+09:00
2006-07-08T02:32:51+09:00
2006-06-07T15:44:43+09:00
diwase
未分類
ここ何日はすっかり陽気な天候が続いていたここボストンだが、再び雨に見舞われている。卒業式を明後日に控え、今晩家族が日本から到着。こちらでは卒業式は、家族が仕事を休んで駆けつける、結婚式並みの一大イベントだ。そして、それは卒業する者が30才近い大人であっても、変わりはない。6月9日にはハーバードの大学と大学院が一斉に卒業式を行なうため、ローガン空港には「いかにも」という感じの人たちがぞろぞろと到着していた。ボストン界隈のホテルやレストランも、今週は軒並み予約でいっぱいらしい。
明日の晩は学長主催で、ベイカー・スカラー受賞者(上位5%)とその家族向けのディナーが催されるのだが、最終学期も好成績で終え、無事このディナーへの招待を受けることができた。日本人では4人目、14年ぶりとのウワサ。最後の最後まで、集中力を切らさずに勉強し続けることができた自分を、褒めてあげたい。明日は袴と着物で参加し、大和魂をアピールしてくる予定。気分はノーベル賞授賞式の、川端康成先生。
○ ○ ○
それにしても、今週の村上さん逮捕のニュースは衝撃だった。ウェブでニュースを知り、一人で1時間くらい、3階の部屋で横になって天井を見ながら、呆然としていた。
彼らのこれまでの活動の功罪についてはあちこちで書かれているし、僕も彼の極端なまでの株主至上主義には疑問を呈したこともあった。しかし、今回の事件はさておき(インサイダー疑惑については、47thさんが示唆されているように、少なくとも逮捕直後に理解されていた事実関係のもとでは、法律上のクロシロは相当微妙)、また「ボロ儲けしてたのはけしからん」といった大衆ウケしそうな感情論を廃したきわめて冷静な評価を行なうならば、彼が日本の資本市場の発展に残した功績は非常に大きいと考えるべきだ。
それは、一言で言うならば、資本市場の資産評価機能の正常化を加速させ、定着させたことであると思う。
証券の価値評価は、利益やキャッシュフローだけでなく、投下資本・資産に対してどれだけ効率的なリターンを生み出しているか、というバランスシートの視点が不可欠である。眠っている資産(過剰なキャッシュや遊休不動産)を保有している企業は、「でもあそこは経営陣が古い保守的な考えだし、どう考えても資産を有効活用しなそうだから、しょうがないよなー」とあきらめるのではなく、それらを有効活用することを前提とした評価がなされるべきだし、資本市場はそれを強烈に迫る力を持つべきである。村上ファンドだけが理由ではないかも知れないが、ここ3~4年、ものすごい勢いで、あちこちでロックアップされていた資産が解放され再投資され、グローバルで見ても日本の資産評価が正常化してきたと感じる。明らかなアービトラージの機会がなくなったことは、社会経済の効率からは望ましいことだ。
米国では村上ファンド並に暴れているアクティビストは多数いるが、彼らは市場に不可欠な役割を果たす、一プレイヤーであるとみなされている。そこには、市場の価格付け機能への徹底した信奉があり、その原理を守るために、多少の荒波があることはやむを得ないと考える思想があるように思える。それは、資本市場の資産プライシング機能によって、マクロでみて最適な資源配分がなされるという、資本主義の根底にある原理原則への信奉だ。トレーディングで短期的なミスプライシングから儲けを取っていくのも、それが価格の正常化を生んでいくという点で、これに含まれる。
これに対して、わが国の資本市場は、資源配分において政府が大きな役割を担うという考えが強いことから、市場に資産評価機能はある程度認めるものの、それが犯すべからざる原理原則とは考えられていない気がする。かかる機能は(そのときどきの当局が考える)秩序とのトレードオフである程度犠牲にされてもやむをえないもの、そう思われているのかも知れない。ときの検察幹部が「株式取引による儲けは汗をかかない、尊い勤労ではない」という考えの持ち主であれば、その思想にあわせた「秩序の正常化」の動きが起こるわけだ。
現時点では事案の詳細や、他の違法な取引の有無は明らかになっていないから、軽はずみなコメントは差し控えるべきなのかも知れない。しかし、期待を胸にこれから日本に帰ろうとしていたところに、「出る杭は打たれる」、実に日本的な慣行を生々しく見せ付けられたことで、どこかで身震いがするような怖れの感情を生み、1時間も呆然としていたように思う。
○ ○ ○
最近各方面から問い合わせがある、卒業後の進路について。
2006年MBA卒業生のジョブ・マーケットはすこぶる好調で、幸いにも色々な魅力的なお話があったのだが、この冬にある投資家の方と出会い、その結果、東京の某投資会社で働くことになった。
キャリアを恋愛に上手に例えることには定評があるワタクシですが、言うならば、「ビビっときてスピード婚」といったところ。今後もまた皆様に色々と助けていただくことと思いますが、その節はどうぞよろしくお願いします。
この2年間、キャリアや人生についてはよく悩み、考えさせられた。特に印象に残ったのは、HBSの卒業生に対して投げかけられる、ある詩人の問いかけ:
“Tell me, what is it you plan to do
with your one wild and precious life?”
~ Mary Oliver, Pulitzer Prize winning poet
「さぁ教えてください、
一度しかない、あなたのワイルドでかけがえのない人生を、
あなたはどう生きていくのですか?」
僕らの両親が育ったような時代はまだしも、これだけ価値観やオポチュニティが多様化した、成熟化した資本主義の時代において、一度しかないワイルドでかけがえのない自分の人生を、大きくて有名な組織で安定を求めてあくせく働いて過ごすことの意味は、もはやなくなった。とにかくワクワクする毎日を送れる職場を、全力で追い求めるべきだ。
僕ら一人一人には、大きな可能性がある。目の前に開かれた道を妨げるものがあるとしたら、それは自身の怠惰、創造性や勇気、努力の欠如しかない。
自分という一人の個にユニークなエッジを活かして、自分にしかできない、めいっぱいワクワクする人生を送るべきだ。
僕は、ようやくそんな人生に向けて第一歩を踏み出せたことを、幸せに思っている。
○ ○ ○
以前ちょっと仄めかしましたが、この秋頃を目標に、某出版社から留学記のエッセイ集をベースとした本を出版する予定です。ブログの「日記」っぽい部分は、すでにウェブでお読みいただいたし少々野暮ったいので全面的にカットし、もっと「生のアメリカ」や、色々な点で米国的資本主義化しつつあるわが国へ示唆のあるような内容に絞って、整理し直しています。
内容は留学生活を通じてみてきた米国のファンド資本主義、リーダーシップと企業倫理、アントレプレナーシップ、グローバリゼーション、民と公の交差、キャリア論と、多岐に渡る予定。巷にあふれるMBA本では終わりませぬ。お馴染みの軽快な口調で、ずばりと切り込み、専門的な内容を分かりやすく書いた、面白い本になる と いいな と期待しつつ、遅々として進まない原稿に取り組んでいます。先日、サンフランシスコで梅田望夫さんとランチする機会に恵まれ、大変刺激になったのですが、ウェブ進化論までは無理でも、一人でも多くの同世代の人たちに、僕の留学体験から得た視座を共有できるものを作りたいと考えています。
○ ○ ○
今回の留学生活でブログを続け、自分の考えを発信するメディアを持てることのありがたみ(とそれに伴うコスト)を、痛感しました。仕事を始めても、これまでとはもちろん形は変わるでしょうが、何らかの形でまたブログ書けたらいいな、そう思っています。
それでは、またお会いする日まで!
2006年6月7日深夜
大雨のボストンにて
岩瀬 大輔
hbslife@gmail.com
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突然ですが
http://hbslife.exblog.jp/4207779/
2006-02-28T14:12:39+09:00
2006-07-08T02:32:51+09:00
2006-02-28T14:10:30+09:00
diwase
未分類
当初の予定よりも若干早いのですが、
本日、2006年2月末を持って、ハーバード留学記を終了することにしました。
気持ちは、人気絶頂期に突然引退を発表した女優です(違うか)。
残り数ヶ月、勉強と執筆活動に集中したいと考えています。
留学中は、多くの方々から励ましの言葉をいただき、ありがとうございました。
夏に卒業後は東京に戻って色々と活動する「予定」ですので、
今後ともご連絡を取らせていただける方は、
どうぞ hbslife@gmail.com 宛てにメイルをいただければと思います。
最後に。
一度っきりしかない、大切な人生。自分の個性とエッジを活かした、生き方をしよう!
* 残念ながら、過去の記事の配信はしていません。偽アドレスを名乗って送りますよ、という書き込みがありましたが、スパムっぽいので無視されるようお願いします。]]>
To Music - 2006/2/25
http://hbslife.exblog.jp/4194855/
2006-02-25T01:05:55+09:00
2006-07-08T02:32:51+09:00
2006-02-25T01:05:55+09:00
diwase
Life
Music: breath of statues. Perhaps:
silence of images. You: speech,
where all speech ends. You: time,
standing vertically parallel to our
vanishing hearts.
Feelings for whom? Oh, you transformer
of feeling into what? : audible landscapes!
You stranger: music. You who have outgrown
surge away from us.... in holy farewell:
where our deepest center surrounds us
as the most distant horizon,
as the other side of air:
pure,
immense,
no longer habitable.
RILKE ]]>
learning from sports teams - 2006/2/23
http://hbslife.exblog.jp/4188939/
2006-02-23T15:59:00+09:00
2008-11-04T19:24:50+09:00
2006-02-23T15:59:46+09:00
diwase
Class
七つのレッスン
Lesson 1: Integrate cooperation with competition
勝ち続けるチームでは、チーム内に協力関係だけでなく適度な緊張感を持った競争がある。スポーツのチームで言えば、レギュラーのポジション争い。(高い創造性で有名なデザイン会社)IDEOの例でいえば、それはブレインストーミングセッションの場。プロフェッショナルがそれぞれのクリエイティビティを見せ付けあい、チーム全員でどのアイデアを採用するかを決めていく。
ただし、この競争は
①場面を限って行なう(例えばブレインストーミングセッションだけ)、
②特定の目的のみに向かって行なう(使えるアイデアをひねり出すこと)、
③一定のルールのなかで行なう(他人のアイデアを批判しない)、
といった条件の中で行なうことが必要。営業成績を競う、といった無限定に競争を導入させるのでは、逆に協力関係を築きにくいので望ましくない。
Lesson 2: Orchestrate some early wins
前半に勝っているチームがそのまま試合に勝つ確率は、圧倒的に高いそうだ。同様に職場でも、"self-fueling spirals"と呼ばれる好循環に入ることが重要。小さな成功体験でよいので、早期の段階で経験するとメンバーお互いへの信頼とチームとしての自信が高まり、その後の活動に好影響を及ぼすそうだ。リーダーとしては作業を小さな括りに分けて、意識的に成功体験を作り出すことが必要。
Lesson 3: Break out of losing streaks
負け根性が身につくと、悪循環に入ってしまうが、ここからどうやって抜け出すかが重要。負け癖がついているチームはついつい外部のコントロール外の要因に負けの理由を見出しがちだが、そこでリーダーが実際に敗因がコントロール可能な要素にあることを示し、勝ちへ持っていくことを示すことができれば、メンバーのメンタリティも大きく変わる。
Lesson 4: Carve out time for practice
一流であればあるほど、練習の重要性を説く。試合と同じくらい、あるいはそれ以上に重要だ。にもかかわらず、我々はビジネスの現場では練習のために時間を取ることができず、常に本番だけを走り続ける。そこでリーダーが意識的に「練習」」の時間を作り出すことが重要になってくる。練習と失敗の場を、組織化して作っていくことが重要だ。例えば1ヶ月か四半期に一度、メンバー全員で集まって営業プレゼンテーションをレビューする。これによって、より早く深く組織としての力を高めることができる。
Lesson 5: Call half time
中間地点でタイムアウトをすることはとても有用。ビジネスの作業でも、ちょうど中間地点はチームメンバーがそれまでの活動を見直す、よい機会であるようだ。やり方は正しいか?改善できる点はないか?もしプロジェクトが長かったり、期限がない継続的なものであれば、リーダーが意図的に区切りとなるdeadlineを作って、その中間地点でチームがパフォーマンスをレビューをできる機会を作る。
Lesson 6: Keep team membership stable
勝ちチームは、メンバーがほぼ固定している。これによって、お互いの間合いが分かってチーム力が高まることは明らかだ。NBAで勝ち続けたチームも、商品開発を担当する50チームの分析も、同じ結果が出ている。同じメンバーで意味のある期間一緒に仕事ができるよう、意識的にスタッフィングをすることが必要。
Lesson 7: Study the game video
勝ちチームは、試合後にビデオを全員で見直すそうだ。これによって、自分以外の動きもよく見えるし、即座に改善点が見出せる。ビジネスの場でも、毎回数分でよいので、チームとしての動きでよかった点、よくなかった点を振り返る必要がある。
スポーツを事例にする際の注意点
Caveat: Choose the right sports team as a model
チームはそのメンバー間の相互依存関係によって、野球型、アメフト型、バスケ型に分けられる。野球は個人間のやり取りが少ないのに対して、アメフトは各自が独自の役割を持ちつつもお互いに影響しあい、バスケはたった5名なのでお互いの動きが絶えず相互に影響を与え続ける。ビジネスの場合もこれらに例えられる。営業は野球型、組み立てラインはアメフト型、そしてクロスファンクショナルチームはバスケ型。自分たちのチームがどのタイプの動きをしているのかを意識していることで、ボトルネックを見つけることができる。
以上、出所:
"Sports teams as a model for workplace teams: Lessons and liabilities" Nancy Katz (2001), Academy of Management Executive: The Thinking Magazine]]>
2月22日 - 2006/2/23
http://hbslife.exblog.jp/4188708/
2006-02-23T14:18:40+09:00
2006-07-08T02:32:51+09:00
2006-02-23T14:18:40+09:00
diwase
Life
3月生まれのボクは、
平成2年2月22日、2年2組21番だった。
あとちょっとで、2222222だったのに! と悔しく思ったことを
懐かしく思い出しました。
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EC Viewpoint - 2006/2/22
http://hbslife.exblog.jp/4188631/
2006-02-23T13:44:40+09:00
2006-07-08T02:32:51+09:00
2006-02-23T13:44:40+09:00
diwase
Class
久しぶりに、1年次のセクションの仲間が古い教室に集まった。90名の仲間が同じ教室ですべて同じ講義を受けた1年次とは打って変わって、2年次はすべてが選択科目制であるため、なかなか皆で集まる機会がない。そこで、各学期に一度だけ、皆で集まって、好きな教授を選んで、なんらかのテーマでディスカッションをすることにしている。学級委員長としての職務は日程の調整・連絡とテーマ選択、事前に皆に近況報告のアンケート記入を呼びかけ、あとは皆でほうばるピザの注文と宅配。ピノキオというハーヴァードスクウェアのピザ屋へでかけ、70名分のピザを車のトランクに積んでキャンパスへ戻った。
担任の教授も交えた90分のセッション、前半はピザとコーラをほうばりながら、近況を報告しあう。特に、新たに婚約をして結婚を控えている人、子供ができた人が多い。留学生活中は、プライベートな面での進展が非常に多い環境だったりする。卒業後の進路は、やはりコンサルティングが多いのだが、その他には投資銀行、事業会社、ベンチャー、PE・ヘッジファンドといったところか。元の会社に戻る人たちも、何人かいた。
後半は教授にモデレートしてもらいながら、このMBAプログラムを通じて何を得たか、感じていることをディスカッションすることにした。たくさん友達ができた、世界観が広がった、ビジネススキルが身についた、といったこと以外に、特に印象に残ったのは、以下のコメント:
・ 入学前は正直MBAなんて対して役に立たないと思っていたが、先日職場同期でMBAに結局行かなかった友人と久々にビジネスの話をした。あるケースを分析するにあたって、彼と比べていかに自分が広く深く分析できているか気がつき、この1年半で自分が随分と成長していたことに気がついた。
・ クラスメートやケースの登場人物にはすごい人がたくさんいたが、それぞれがなんらかの不安やsense of insecurityを抱えながらキャリアを築いている、ということに気がついた。どんなにすごい人でも皆が悩み苦しみながら生きている、ということは大きな励みになった。
・ ハーバードMBAというとすごい肩書きのように思っていたが、卒業後こそが本当のチャレンジであり、これからずっと継続して努力し続けなければならない、ということを学んだ。
・ 自分と異なる意見がどれだけたくさんあり、それらに注意深く耳を傾けることで、思いがけない知恵を得ることができるということを学んだ。
・ ここにいられることがどれだけ恵まれたことかということをかみ締めるとともに、入学前の自分の世界がいかに小さくて、我々には世界中にどれだけ多くの機会が待ち受けているか、ということに気がついた。
僕自身はというと、ここでまとめることは到底できないのだが、大きくは3つであるように思える。
・ ビジネスセンス。ビジネスというのは非常に複雑で有機的な営みだが、事業を成功に導くにあたっては、戦略・ビジネスモデルから、営業、マーケティング、生産、物流、資金繰り、設備投資、会計、リーダーシップ、倫理、人材・組織、交渉など、考えなければいけないことが非常に多い。一つ一つの専門家になったつもりはまったくないが、800近いケース分析を通じて、満遍なく多岐にわたる事項に目を光らせ、どこにてこ入れが必要か、そのためにはどのようなリソースをどうやって調達するかなど、商売の「ツボ」をかなり身につけることができた。もちろん、理論と実践は別物だが、理論を持って実践に望むことができたら頼もしいに違いない。
・ 世界観が飛躍的に広がった。キャンパスにいると、時代、国、業界、成長ステージを越えて、多岐に渡るビジネスや人物像、意見や価値観、人生観にexposeされるので、より大きな視点を持って、自分のこれからの人生を歩んでいけるように感じている。結局のところ、it's all about perspectivesという気がするので、これは本当に値段をつけることができないほど貴重な体験だと思う。
・ very deep self reflectionを絶えず余儀なくされたこと。いきなり世界中から集まった90名の中にほうりこまれ、自分とは何者なのか?ということを考えることに始まり、ケースでは常に「自分がその立場にいたらどうするだろうか?」を考えさせられ、リーダーシップや倫理のコース、あるいは著名人のスピーチや進路を考えるにあたって、繰り返し「自分にとって大切なものは何か?自分とはどういう人間なのか?」ということを自問させられた。これは留学生活のあいだだけの一時的な体験ではなく、今後の人生でも絶えず行なっていく必要があることだ。]]>
Going Private - 2006/2/20
http://hbslife.exblog.jp/4181139/
2006-02-21T15:56:03+09:00
2006-07-08T02:32:51+09:00
2006-02-21T15:56:03+09:00
diwase
Private Equity
ジャック・ウェルチはCDRというファンドの会長を、元IBMのガースナーはカーライルの会長を勤めていることはよく知られているが、他にも元フォードやGapの会長がバイアウトファームの投資先で活躍していることを取り上げ、いまや公開会社の経営者よりも、非上場化したビジネスの方が四半期毎の業績にとらわれず、長期的な視点から経営ができること、そして彼らにとっても金銭面でのアップサイドの可能性が高いことを強調している。ガースナーは、「公開企業の経営者に戻りたいとはまったく思わない」と述べた上、最近の米国株式市場における四半期毎の業績が過度に重視されることを問題視している。
今回面白いと思ったのは、これまでは「バイアウトファンドは短期的な利益のみを重視し買収先企業を切り売りする」、といった「バイアウトファンド=短期思考」という論調で語られることが(日本では)多いが、実際には平均的な株主の保有期間が半年以内であるという米国の実情にかんがみれば、簡単に売買できる株式市場の株主よりも、中期で大きなゲインを狙わなければならないバイアウトファンドの方が長期視野でpatientな株主であり、次の買い手にも魅力的と映るような持続可能な成長力を持った企業に育てあげなければならない、といったことだ。アクティビスト=ものいう株主の活躍が目立ってきた日本の現状は、米国の株式市場に少しずつ似てきていることも考えると、同様の議論が日本でもされるようになるのも遠くないだろう。
「バイアウトファンド=善」であると断定するつもりはないが、本質的な役割を踏まえたうえでバランスの取れた議論がされることが、今後の資本市場およびPE業界の発展にも望ましいと考えている。]]>
イメージ操作にご注意を - 2006/2/20
http://hbslife.exblog.jp/4181035/
2006-02-21T15:09:57+09:00
2006-07-08T02:32:51+09:00
2006-02-21T15:07:56+09:00
diwase
未分類
先週の Leading Teamsの授業で、Public Image Assessment Exerciseなるものをやった。自分のパブリック・イメージ、すなわち世間にどう見られたいか、どう見られたくないかをキーワードでどんどん書き出していき、そのために何をすべきか、何をしないべきか、といったものを書き出してみる。「己を知る」というself assessmentは何をやるにしても継続的に行なっていく必要があるものだが、今回はそのアセスメントがチームのパフォーマンスにどう影響するか、という視点から議論もした。
「イメージ」というと、なんだか「真の姿とは異なる偽りの姿」といったネガティブなconnotationもあるようだが、人とのかかわりのなかで生きていく以上は無視できない要素だと考えるべきだし、イメージ作りは無意識のうちに誰もが多かれ少なかれ行なっていることである。ウソの自分を演じる必要はないが、じっくり付き合って本当の自分のよい面も悪い面も知ってもらう時間がない関係が多い以上、よほど「素の自分」に自身がある人以外は、一度は考えてみる価値がある。
本ブログも(ハーバード、MBA、PEなどの一部のコミュニティのあいだで)結構知られてきていることもあり、ブログを読んでくれているという方から連絡をもらったり、話をする機会が増えてきた。面白いのは、人によって持っているイメージが異なるというもの。
よく言われるのは、
「いい生活してますねー」
「勉強大変そうですよね」
「最近は手抜いてますよね」
「いつもお料理されてるんですよね」
「宴会がいつも楽しそう」
「正直、もっと偉そうな人だと思ってましたが意外と●●ですねー」
自分が興味がある記事を拾い読みして、そのなかからそれぞれの解釈を加えてイメージができあがっているのだろう。自分は留学生活のなかでハイライトとなるような印象的な場面を取り上げて書いているのだが、読んでいる方にはそれがあたかも日常であるかのように映る。自分自身についても、無意識のうちに「ありたい姿」が映しだされるように、言葉やトピックを選んで表現をしているわけだ。もちろん隠し切れないものもあるが(「あいつ自己顕示欲が強いよね」もよく言われる…)、皆さんは基本的にはボク自身の手によるイメージ戦略にまんまと乗せられてしまっているわけだ。(ちなみに白状すると、料理はたまーにしかやってないし、ここ数ヶ月はほとんどやってません…)
上手に自分を売り出していける人とそうでない人では、残念ながら巡ってくるチャンスや寄って来る人の数も変わってくる。得意な人も不得意な人も、一度自己分析とアクションプランを作ってみると、職場での周囲との付き合い方が変わってくるかもしれない。]]>
I totally disagree - 2006/2/18
http://hbslife.exblog.jp/4172530/
2006-02-19T11:50:00+09:00
2007-08-14T16:28:50+09:00
2006-02-19T11:50:28+09:00
diwase
Class
最近授業にケースの当事者が訪れることが多いのだが、彼らが我々のディスカッションを聞いてよくいうのが、「今日指摘されたポイントは、いずれもこれまでの取締役会で何度となく議論されてきたものであり、あのときにこの議論を聞くことができたら、もっとよい意思決定ができたかもしれない」、というもの。参加する学生と教授にとっても、これが最大級の賛辞の言葉となる。
そして、HBSのケースディスカッションでは、皆が真剣に、全力で自分の意見をぶつけることこそ美徳とされる。以下、授業中によく聞かれる言葉:
"I disagree"
"I totally disagree"
"I vehemently disagree"
"I cannot disagree more"
etc etc...
これらの発言は個人攻撃ではなくあくまで相手の「意見」に反対しているのであり、よりよい考え方や結論を導くための不可欠なプロセスだと看做されている。どんなに激しくやりあってもお互いユーモアを忘れないし、授業が終わるとけろっとしているところが気持ちよい。真っ向から反対しあうことで、同じ問題についても様々な見方があり、多面的な視点で問題を考慮しなければならないことが自然と身につく。
正直言って、僕もこれに慣れるまでは時間がかかった。前の職場では、上司と意見が異なっても真っ向から反対することができず、どうやって相手の気持ちを害さないで自分の意見を伝えようか、苦心したものだ。しかし、そもそも「相手の気持ちを害するだろう」という考え方がおかしいことに気がつかなかった。反対意見を述べることは決して相手に失礼なことではなく、よりよい解を導くために必要なものなのだから。このHBSの教室のような雰囲気を職場でも実践できたら、どれだけ豊かなアイデアをぶつけあい、新しい解決策を生み出していくことができることだろうか。
最近、自分で理想の組織を作るならどのようなものにするか、よく考えている。まず一番基本となるのは、「成長し続けられる組織」をどう作るかだと考えている。仮に最初の実力が70だとしても、毎日毎日、「どうすればもっとよく仕事ができるか?」とメンバー全員が考え続け、改善を実践できることができたら、2~3年後の組織力はみちがえるほどよくなっているだろう。組織は一時点をスタティックに捉えるのではなく、ダイナミックな存在としてどうあれるかを考えなければならない。
これらは言うのは簡単だが、それではどう実行すべきか?それは、組織の習慣や規範作りが鍵となると思う。自分の意見を、"I disagree"と全員が立場に関係なく、冗談を交えながらぶつけ合えるカルチャーを丁寧に作りこんでいく。会議では、つねに一番ジュニアな人から、「君はどう思う?」と問いかけ、皆が自分の頭で考え、意見を表明し、それらの意見が取り入れられるような習慣をつくる。日々の仕事をただ「こなす」のではなく、どう工夫したらよりよくできるか、貪欲に考え続けることを業務の一部としていく。
いずれも容易ではないが、それは待っていてもでき上がるものでもない。組織のリーダーが絶えず組織作りの作戦を練り、積極的にしかけていき、ときにはlead by exampleで自らが中心となって示していく。そのようなnormが定着したときに、組織は強くなれる、いや、強くなり続けることができる、そう考えている。最近お気に入りの"Leading Teams"という授業では、毎日こんなことを苦戦しているチームの事例分析を交えて、議論しているわけだ。
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Hedge Fund vs VC - 2006/2/15
http://hbslife.exblog.jp/4161236/
2006-02-16T09:20:07+09:00
2006-07-08T02:32:51+09:00
2006-02-16T09:20:07+09:00
diwase
Private Equity
ヘッジファンドとバイアウトの競合は最近流行のテーマだが、今日はヘッジファンドによるベンチャー投資という話。
何度か書いているが、いま取っている授業でもっとも面白いものの一つが、ヘルスケアベンチャーのコース。担当する二人の教授は、一人はHBSで教鞭に立ったのちに自分で起業し、最近になって学校に戻ってきたHamermesh教授と、ボストンの名門VCファームで現役バリバリのベンチャーキャピタリストであるHiggins教授。
(ちなみに、こちらではventureというとVCのことを指し、いわゆる創業したての会社のことはstart-upということが多い。「ventureで働くんだー」というとVCだと思われてしまう)。Higgins教授が実際に投資した会社を題材として、実際の起業家を呼んでくることが多い上、そもそもヘルスケアベンチャーというのが日本ではまだまだ存在しないため、とても刺激的だ。
そして、いくつかのケースで出てきたのが、ファイナンシングをヘッジファンドから受けるという事例。例えば、今日のDES(drug eluted stent)の会社では、
・ Series C:約$10milをHiggins教授のVCが引き受け
・ Series D:H&QとVCもう一社のほか、MaverickとBrooksideというヘッジファンド2社が入って、4社で$30milを投資
・ さらに1年後、Series E:TudorとPequotのヘッジファンド2社が$50mil投資
・ その半年後:IPO、時価総額$400mil
というわけで、先生はウハウハなのだが、VCではなくヘッジファンドが入っているところが興味深い。
今日の会社は、過去に2社ほどベンチャーを立ち上げて、成功裏にエグジットしている起業家なので(UCLA医学部の教授で心臓外科の権威らしい)、トラディッショナルなVCからの経営サポートはさほど必要ないのだろう。むしろ、VCはバリュエーションはけちだし経営へ口出ししてくるのでやりにくい相手であり、黙って金だけ出してくれるヘッジファンドの方が都合がよいのだろう。
ヘッジファンド側も、潤沢な資金の投資先を求めて様々な分野に手を広げている。ボクが夏働いたヘッジファンドでも、医者で他のファンドにいた人間を引っ張ってきて公開しているバイオテクノロジーの企業の調査・投資を担当させ、かついくつかベンチャー投資も手がけていた。$15bnのポートフォリオを運用するとなると、一発狙いでベンチャーに数$mil投資なんて安いものだし、デューディリジェンスも公開情報でやることに慣れているので、投資までの意思決定はとても早い。他の投資案件を探すのに忙しいので、投資後もできるだけ経営にも関与したくない。IPOが決まったら、売り抜けるのでなく追加で投資をすることもよくある。もちろん、投資銀行にとっては上客なので、いい条件でIPOができるようプレッシャーもかけられる。というわけで、一定の経験を持ったヘルスケアVCの起業家にとっては、この上ないスポンサーであったりもするのだ。
以前alternative asset firmとして勝っていくためには投資対象を広げていく必要があると書いたが、どうやらベンチャーもその例外ではないようだ。「リターンを上げられればなんでもいい」という究極のflexibilityを持っているヘッジファンドは、今後もそのテリトリーをますます広げていくような気がする。]]>
NetflixとEnron - 2006/2/12
http://hbslife.exblog.jp/4148986/
2006-02-13T09:23:17+09:00
2006-07-08T02:32:51+09:00
2006-02-13T09:23:17+09:00
diwase
Life
今日は大雪で外に出られなかったので、家にこもってロマンチックな映画でも見よう、そう思っていたのだが、届いていたのがなんとエンロンの破綻を振り返ったドキュメンタリー作品だった。ライブドア事件もあって、去年ethicsの授業でやった同社のケースを取り出して読んだりしていたので、なんともタイムリーなのだが、いかんせんロマンスには欠けるなぁ。見終わってみて感じたライブドア事件との違いは、関係者の数の大きさか。従業員は3万人、彼らが年金資産として401Kで積み立てていた自社株は12億ドル、他の年金ファンドが保有分は20億ドル。LDはどちらかというと、デイトレーダーっぽい人たちが株主としては多かったようなイメージ。フィデリティよ、お前もか、そんな記事もあったが。エンロンでは電力会社で作業員としてコツコツ働いていた人が、たまたまエンロンに買収されて会社の株がすべてエンロン株になってしまった結果、ずっと年金代わりに積み立ててきた株がすべてパーになってしまったとあり、かわいそうだった。また、多くの銀行はエンロンがやっていたオフショアのペーパーカンパニーに出資をして利益を得ていたし、彼らをチェックすべきだった投資銀行のアナリストたちも、途中からブラックボックスとなっていた利益の源を探ろうとしなかった。時代の変革者とマスコミがもてはやしたのは、同じか。また、エンロンの場合は当局の介入を待たず、内部告発で明らかになったことも違う。先日読んだ記事によると、こちらではwhistle blower(笛を吹く人=内部告発者)は企業の賠償金の何割高を成功報酬としてもらえるそうだ。なんとも現実的というか、そこまでファイナンシャルなインセンティブでひっぱるか。また、エンロンのSPCを使った飛ばしに関わっていた銀行は10億ドル規模の和解金を当局に払っていたような気がする。LDでは株主代表訴訟とかどうなるのだろう?
ちなみに、ロマンチックと言えば先週見た映画"The Notebook"は超お勧め。久々に、ぼろぼろ涙を流して泣いてしまいました。]]>
Asia Business Conference - 2006/2/11
http://hbslife.exblog.jp/4148938/
2006-02-13T08:57:29+09:00
2006-07-08T02:32:51+09:00
2006-02-13T08:57:29+09:00
diwase
未分類
印象に残ったのは、中国人VCによる中国政府に関する発言:
「最近の若手官僚の多くは海外で教育を受けてきていて、とても革新的だ。中国政府は、マッキンゼーとゴールドマン(出身者)、そしてCIAが動かしているとの冗談もあるくらいだ」。
会場は中国人学生であふれていて、欧米で教育を受けたこれだけの数の学生が本国に帰国したのち、中国社会を変えていく大きな原動力となるだろう、そう思わずにはいられない。我々日本人留学生も、数で言えばずっと少ないが、こちらで学んだことを活かして、世の中を少しでも動かしていくcatalystとなりたいものだ。]]>
functional and strategic finance - 2006/2/10
http://hbslife.exblog.jp/4141017/
2006-02-11T10:40:49+09:00
2006-07-08T02:32:51+09:00
2006-02-11T10:40:49+09:00
diwase
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マートン教授のファイナンス講義、引き続き面白い。(注:以下、非常にマニアックな内容です。)
月曜日は投資家のリスク管理というテーマのなか、プライベートエクイティ・ポートフォリオのリスクをどう図るべきかが題材。通常は上場・売却などのliquidity eventまで簿価で計上されているため、「マーケットと相関が低くリスク分散になるんですよー」と投資家に説明する(ボクもそうしてた)。
しかし、このポートフォリオの本当のシステマティックなリスクを理解しようとするなら、業績のファンダメンタルズはマクロの業界動向に影響される部分が大きいし、投資を流動化しようとするならばその時々の市場の時価評価に影響されるのであるから、未上場企業といえども時価評価されるべきである。実際に、PEの研究の権威であるHBSのLerner教授がやった研究によると、近似値的に出してみた時価評価は、実はボラティリティはそれほど低くなく、投資家が理解しているリスク・リターン性向は正確でない、というのがポイント。これは決してPE投資が悪いということではなく(実際に30年分のデータを提供したWarburg Pincusのリターンは、このような手法でリスク調整したのちも驚異的な結果)、投資家が正確に自身のポートフォリオ投資を把握していないことを問題視しているわけだ。
火曜日は企業のリスク管理の観点から、企業の年金資産・債務をどう見るべきかという問題。年金については積立不足がとかく話題となるが、マートン教授が指摘するのは、積み立て不足よりも資産と負債のミスマッチ、ALM (asset liability management)を問題とすべきということ。例えばGMについてみると、株の時価総額が$13bn、年金負債が$100bn強、年金資産が$75bn程度。この$25bnの積立不足もさることながら、問題は負債のほとんどが確定給付であり、資産の大半が株で運用されているということ。これは言うならば、元本が$75bnで、S&P500のリターンを受け取る代わりに固定利率の債券のリターンを支払う、スワップ契約を結んだのと同じだ。もし時価総額の5倍もの額のデリバティブ取引を行なっているという理解をしたら、取締役会はこの取引をOKするだろうか?
確定給付で積立型の年金であれば、エクイティでリターンを狙うことは意味がなく、債務とマッチしたfixed incomeの資産を持つべき、というのが彼の主張。年金資産はオフバランスであるため、別扱いしてもいいような気になってしまうが、積立不足がある限りは企業の株主にしわ寄せがくるのであり、その限りでは会社の他の資産と区別すべき理由はないのだ。そのような観点から、企業全体の本当のバランスシートを見なければならない。
これら2日間に通じる問題意識は、「ファイナンス理論を元に新のエコノミスクに基づくリスクを見たらこうあるべきなのに、会計上や制度上の理由から、世の中の人たちは間違って理解している」というもの。細かい数字の話をするのではなく、正統派のファイナンス理論が、いかに真実に近い姿をあきらかにしてくれるか、教えようとしてくれている感じがする。
似たような話で、理論ではそうだけどなかなかそうは考えられないな、という例としては、先週にやった、life-cycle modelにおける個人の資産設計というテーマ。個人の資産運用でリスク資産30%、安全資産70%という配分を考えたとする。普通はこれを金融資産だけで考えて、貯金の1千万の配分として考えてしまうが、本来であればこれにhuman capital、すなわち自身に生涯賃金(のNPV)をも資産として考えるべきではないか、とのこと。仮に生涯賃金のNPVが2億円だとすると、自身の資産は2.1億円。生涯賃金のうちリスク資産見合いのものが2割あるとすると、アセットアロケーションとしては2.1億円×30%=62百万円、うちhuman capitalの40百万円がすでにリスク資産となっているので、残りの22百万円を金融資産からリスク資産に投資すべき、ということになる(この場合は借入して株を買うということか)。この考え方を使えば、人は年を取るとリスク回避になってリスク資産を減らすのではなく、human capital部分が減るので相対的に金融資産における安全資産の割合が高まる、ということが説明できる。なんのこったい。これも、ファイナンス理論に忠実に、資産とリスクをwholisticに見る、ということの例なのだろうが。
話はアセットマネジメントのトレンドということに移り、水曜日はalpha transportというテーマで、ある資産で超過リターンを出せるファンドマネージャーは、そのαを他の資産にも移転できる、というもの。題材は、スタンフォードの教授が作った会社がモーゲージ証券化のアービトラージで儲けていたが、のちに先物などを使って、S&Pをベンチマークとして勝つファンドを作って売り出している事例。スワップなどをかませば、不動産の専門家が、どの資産クラスのベンチマークにでも勝てるファンドを作れるというわけだ*。ただ、これってあくまでαはモーゲージから来ているので、投資家からすると今度はαの配分という観点から資産のアロケーション考えなければならないですよね、授業の最後でそう質問したら、その通りだ、とのこと。
そんな、ファイナンス漬けな1週間でした。配られた教科書は、高度な数式がたくさん並んでいて、悔しいがまったく理解できませーん。
* 例えばS&P500ベンチマークファンドとして5億預かったら、実際には4.5億をモーゲージに投資し、残りの0.5億で元本5億のS&P先物やスワップ契約に入る。これによって、デリバティブ部分でレバレッジを使ったベンチマーク投資をしつつ、残った資産を使って自分の得意分野でアルファ/超過リターンを狙っていけるというわけだ。]]>
ワークアウトの現場から - 2006/2/8
http://hbslife.exblog.jp/4133606/
2006-02-09T11:19:02+09:00
2006-07-08T02:32:51+09:00
2006-02-09T11:19:02+09:00
diwase
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といっても、ジムのワークアウトではなく、破綻企業の再建+債権回収の話。これを、debt workoutという。いまターンアラウンドの授業を取っているのだが、今日のケースはここボストンを本拠地としていた、ポラロイドカメラのポラロイド社、ゲストは同社が破綻前のメインバンクであったBank of America のワークアウト部門の責任者。見るからに、こわそうなおじさんだ。
ところで、ケースを読んでいてなるほどなと思っていたのだが、銀行内の組織体制として、窓口となるローン担当者と裏でチェックする審査担当者、そして回収可能性が低くなった時点で登場するワークアウト部隊が別途いる。窓口担当は自身のP&Lを持っていて、貸付先の格付けが下がった場合には、自分のPLにつけられるコストが上がる。また、対象企業の取り扱いについては、基本的に審査とワークアウト部門で検討する。こうすることによって、窓口担当者が情に流されて甘い対応をする、といったことをなくしているわけだ。邦銀もこのような体制を厳密に実行できれば、あれほど不良債権処理を先延ばしにすることはなかったのでは?
ケースディスカッション後の、ゲストによる発言:
・ うちのような銀行は銀行取引でのネットワークが広いから、本気でデューディリジェンスをやろうと思えばいくらでもできる。金曜日の朝にドーナッツとコーヒーを持って、出荷担当者のJoeのところに会いに行くんだ。彼なら、どの商品がどれだけ出荷されたか、ドーナッツを喜んでほうばりながら教えてくれるから。
・ チャプター11が見えているのだから、銀行による従業員への給与振込みを止めろという意見があったが、そういうことをやるとどうなるか、教えてあげよう。我々の銀行の会長がいる本店に、従業員が数百人単位で押し寄せる。そして、窓口にずらっと並び、1ドルで新規口座を開設する。終わると列の一番後ろに再び並び、前まできたらその口座を解約する。そのあとはまた最後列に並び、再び口座を開設する。彼らはやろうと思えば、このような行動を取れるのだ。だから、給料を止めるような真似はしてはいけない。実際には、我々はポラロイド側とタイミングを見計らって、8時30分にチャプター11のファイリングをしてもらい、その後35分に給与を振り込んだ。これによってチャプター11後の債権者として、保護されるからだ。ワークアウトの現場では、このようなディテールが非常に大切なんだ。
・ 逆恨みをした債務者から、「あんたの娘さんは毎朝8時31分のバスに乗ってるだろう」と脅迫めいた電話がかかってきたことがある。そりゃ気持ち悪いけれど、担当者は毅然としていなければならない。どうしたかって?そいつの浮気相手の女性を突き止めて写真を撮って、送りつけてやったよ。うちの子供になんかあったら、この写真をお前の義理の父親に送るからな、って。
というわけで、とっても生々しいワークアウトの現場中継でした。]]>
Don't save sex until you're old - 2006/2/7
http://hbslife.exblog.jp/4130147/
2006-02-08T13:59:47+09:00
2006-07-08T02:32:51+09:00
2006-02-08T13:59:47+09:00
diwase
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日本は40年ぶりの寒さとのことだが、今年のボストンは2月に入っても本格的な冬らしい気候になることがなく、まだ自転車で学校に通うことができている。これは異常気象。薄いコートでも凍えることなく、ひんやりとした風をきりながら、晴れやかな空を見上げつつ、一日一日、この生活も終わりが近づいていると思うと、寂しい気持ちになる。
先日、学校の友人がこんなことを言っていた。なんか、今年に入ってから、皆が最初の学期のように一所懸命勉強してるよね。授業中手はじゃんじゃん上がるし、よく読みこんできている。きっと、もうこうやって学校で勉強するのは最後だから、そう思っているんだろう。その気持ち、よく分かるなー。ここまで来ると、要領よく流すだけだともったいない、目一杯勉強しよう。そう思いつつも、実際にはバタバタしていてなかなか十分に時間は取れなかったりもするのだが。
授業は4月末で終わるし、3月には1週間の春休みがあるので、実質的にはもう2ヶ月半くらいしかないのだろう。ここでは、仕事のあらゆるストレスから解放され、(翌日の予習以外は)何も心配することなく、世界中から集まった同世代の優秀なクラスメイトたちと、大切な家族友人に囲まれながら、豊かな時間を過ごすことができている。あとから振り返ると、なんて恵まれた時間だったのだろう、そう思うに違いない。
ボクはなぜだか、高校くらいのときから、その時々の儚さという感覚に非常に敏感で、いつも、この時間は過ぎ去ってしまったらもう来ない、この瞬間瞬間を大切にしなければ、そう意識してきた。年を取るごとに、残された人生が短くなってしまうことへの恐怖に似た気持ち、そういってもいいかもしれない。初めてその感覚を覚えたのは、高校1年のときに友人たちとカラオケで汗だくになって熱唱していたときであったことを記憶している。まさに青春と呼ぶに相応しいエネルギーに包まれながらも、大音量のなかでふと我に返った自分は、ああ、この時間は今にしか存在しえないんだ、そう思ってふと寂しくなったのを今でも覚えている。
そうでありながらも、矛盾するようだが、いつも自分がなんらかの過渡期にいるような気がして、次のフェーズへ進むことをばかりを考えてきた。中学のときは早く高校に行きたかったし、高校のときは、早く大学に入りたかった。大学のときは早く仕事をしたかったし、社会人になってからも、常に自分は将来の何か大きなことのために助走しているかのような感覚を覚えていた。
しかし、今はじめて、次へ進まなければと焦ることなく、毎日毎日を楽しみに生きることができている気がする。それは、30を目前に控えて、自分の人生が何か(コンサルティング会社のパートナーになるとか、何か重要な地位につくとかといった)ゴールへ向けた準備期間ではなく、自分にとって豊かだと感じることができる時間をどれだけ過ごせるか、その一日一日に意味があるということに気がついたからだろうか。
ウォーレン・バフェットが、かつてHBSの学生たちにこう語った。君たちは、セックスを年を取ってからの楽しみに取っておくようなことをしてはいけない。私は自分が選んだ仕事が楽しくて楽しくてたまらず、毎日職場まで文字通りタップダンスをしながら行っている。将来の起業を目指しつつも、とりあえずは修行と思って自分が本当にやりたいと思うこととは違う職場についつい飛び込もうとしてしまう若者たちを前に、その洞察力だけで数兆円もの資産を築いた老練の投資家は、将来の漠然とした楽しみに今を犠牲にすることなく、その瞬間瞬間を自分が充実すると感じる時間を過ごすことの大切さを、彼独特のユーモアを交えて、伝えてくれたわけだ。]]>
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